正式名称は「吹王山(すいおうざん)・不動院(ふどういん)・玉泉寺(ぎょくせんじ)」。
本尊 不動明王と歓喜天(聖天尊)を同所に祀ることから別名「二尊院」とも呼ばれている。
真言宗智山派(しんごんしゅうちさんは)に所属。
本当の心豊かな人生を送るために、供養と祈願のある生活を提唱し、さまざまな活動を行っている。
玉泉寺は南北朝時代の永徳3年(1383)足利義満のころに、賢海(けんかい)によって開かれた。
古来より真言密教の修行道場として興隆し、堂内には歴代の修行僧が祈りを込めた法具や経典が数多く守り伝えられている。
江戸時代元禄年間、祝融の厄による火災に遭うが、良栄(りょうえい)の代に、
土屋但馬守の寄進を得て、元禄8年(1695)に本堂を再建、中興。
また、元来、越野の地に建立された鎮守山王社(現、日枝神社)の別当職として社務を司った。
明治の神仏分離により日枝神社は当寺より離れたが、今でも境内一帯の山林には石仏、祠などが点在し、
諸仏諸神に抱かれた神仏混交の曼荼羅世界を形成している。
昭和30年から49年にかけて、当山第23世海三、第24世海祐両師の代に、檀信徒の協力を得て復興に着手し、
本堂、山門、鐘楼、庫裡などの大改修が行われ、現在の諸堂が整う。
住職 本間啓庸
長老 本間啓祐
【霊場札所】
多摩札所第百五番
武相観世音第十三番札所
私たち玉泉寺では、現代社会において忘れがちな「死」との向き合い方や、「祈り」の力を、仏教の智慧を通して再発見し、心豊かに生きる道を共に歩んでいきたいと願っています。
供養とは、亡き人を想う営みであると同時に、今を生きる私たちが心を整え、人生を見つめ直す仏道修行でもあります。
先に往かれた方々を、ただの過去の存在としてではなく、仏の位にある存在として敬い、その姿に自身の未来を重ねることで、死を恐れず、むしろ生きる力として受け止めることができます。
このように、供養は過去に囚われるものではなく、今を心豊かに生きるための実践として息づいています。
祈願は、願いを仏に託すだけの行為ではありません。玉泉寺では、私たちの内にある願望や欲求を、より高次の願いへと昇華していく仏道修行の一環として大切にしています。
真言密教では、煩悩や欲望そのものを否定するのではなく、それを浄化し、他者の幸せや世のために生きる力へと転じていきます。
祈願を重ねることで、小さな私欲から離れ、仏の願いに通じる大きな志へと導かれていきます。
玉泉寺は、供養と祈願を通じて、人と人、世代と世代、地域と仏法をつなぐ場でありたいと考えています。
境内に広がる自然や、訪れる方々の祈りが交錯するこの場所は、家族や地域、そして社会全体をつなぐ心の拠りどころです。
信仰とは特別なことではなく、日々の暮らしの中に息づくものです。
玉泉寺では、気負わず、自然なかたちで「供養と祈願に生きる」ことを大切にしています。
こうした考えを通じて、皆さまと共に、調和と慈しみに満ちた社会を築いていけることを願っています。